日本国籍を取得する帰化申請は一般的に、1年くらいの期間を必要とし、100枚以上の書類を用意しなくてはならないと言われています。
外国語で書かれた複雑な日本の書類を100枚以上収集・作成するのはそれだけでも大変ですが、提出する公的書類のなかには交付日から数ヶ月以内のものと期間制限があることもあり、帰化申請は優先順位を決めて計画的に手続きを進めていく必要があります。
特別永住者(在日韓国人・在日朝鮮人)の場合、一般の外国人と比較して帰化条件が緩和されたり、提出が不要とされる書類があるなど手続きが簡易化される一方で、長く日本に住んでいる又は日本で生まれている分、本国書類や日本で準備する書類の枚数が非常に多くなることが多いです。
以下に、特別永住者が効果的に帰化申請できるよう、日本国籍取得に必要となる書類と帰化条件を紹介します。
目次
特別永住者の帰化書類

特別永住者が日本に帰化申請する場合に必要になる一般的な書類は次のようになります。ただし、申請する方の身分・職業など個々の状況に応じて必要な書類が異なりますので詳しくは申請先の法務局や行政書士にご相談ください。※法務省HP(国籍Q&A)
- 帰化許可申請書
- 親族の概要を記載した書類
- 履歴書
- 生計の概要を記載した書類
- 事業の概要を記載した書類
- 住民票の写し
- 国籍を証明する書類
- 親族関係を証明する書類
- 納税を証明する書類
- 収入を証明する書類
※帰化の動機書は不要とされています。
特別永住者の帰化必要書類の取得先と状況に応じて必要になる書類
必要書類の取得先になります。
どこへ行けばどの書類を揃えられるかといった取得先に加え、申請者の状況によって必要になるなどの一覧以外の書類についても触れていきたいと思います。
法務局で取得する書類
- 帰化許可申請書
- 親族の概要を記載した書類
- 履歴書(その1、その2)
- 生計の概要を記載した書類(その1、その2)
- 事業の概要を記載した書類(個人事業主や法人の経営者の場合に必要)
これに加え、居住付近の略図等や勤務先付近の略図等、申述書を取得します。また、申請者自身や同居家族が土地や家屋、マンションを所有している場合や会社を経営している場合には土地・建物の登記事項証明書、法人の登記事項証明書を取得する必要があります。
市役所・区役所などで取得する書類
- 住民票の写し
住民票以外にも申請者の状況によって取得する必要がある書類があります。
例えば、配偶者や子が日本人の場合や両親の一方が日本人の場合、両親・兄弟姉妹で帰化している場合には戸籍謄本も必要になり、場合によっては除籍謄本・改正原戸籍謄本・戸籍の附表が必要になります。
また、申請者本人や兄弟姉妹が日本で生まれている場合や外国籍である両親が日本で結婚・離婚している場合などによって出生届・婚姻届・離婚届などの記載事項証明書が必要です。
- 納税を証明する書類
住民税の納税証明書、住民税の課税証明書となります。(直近1年分 同居の家族分も必要) 申請する方や配偶者に収入がない場合、または収入が低い場合には非課税証明書が必要です。
母国で取得する書類
- 国籍を証明する書類
- 親族関係を証明する書類
特別永住者の場合、日本にある大使館、領事館より該当書類を取得することができます。
関東圏では東京・千葉・埼玉・栃木・群馬・茨城にお住まいの方は東京都港区麻布にある駐日本国大韓民国大使館で、神奈川・静岡・山梨にお住まいの方は駐横浜大韓民国総領事館が管轄となっています。
必要書類としては本人の基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書・入養関係証明書・親養子入養証明書に加え、父及び母の家族関係証明書・母の婚姻関係証明書が挙げられており、さらに父母が婚姻して以降の除籍謄本・母が懐胎可能年齢に達して以降のすべての除籍謄本も必要とされています。
法務局や申請者の状況により異なる場合ありますので必ず確認してから取得することをお勧めします。
税務署などで取得する書類
- 納税を証明する書類
複数の勤務先から給与を得ている方や副業などで本業以外に収入がある方など、給与所得者で確定申告をしている方は個人の所得税の納税証明書が必要になります。
他方、会社経営者や個人事業主の場合には法人税・消費税・所得税・事業税といった各税の納税証明書が必要になります。
勤務先から取得する書類
- 収入を証明する書類
源泉徴収票や在勤及び給与証明書となります。在勤及び給与証明書は申請者の勤務先にお願いして作成・発行してもらいます。申請者自身が事業行っている場合にはご自身で作成する必要があります。
その他の書類
ご自身の手元にある書類のコピーまたは状況に応じて該当機関から取得する書類になります。
特別永住者の帰化条件
一般的な帰化条件は住所・能力・素行・生計・重国籍・憲法・日本語能力といったものがあり、一つ一つ確認する必要がありますが、特別永住者の場合、素行・生計の条件を満たしていれば残りの住所・能力・重国籍・憲法・日本語能力は問題ないことが多いです。
1.住所条件
特別永住者の方については日本に長く住んでいる方、日本生まれといった方がほとんどだと思います。つまり、おおよその方が住所条件を満たしているため、一般的には住所条件を気にする必要はないと言われています。
引き続き5年以上日本に住んでいることや3年以上の就労経験があることが一般的な外国人が帰化するときの住居条件でしたが、多くの特別永住者(在日韓国・在日朝鮮人)の場合、主に次のような条件が該当して緩和されます。
日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
日本で生まれた外国人が引き続き3年以上日本に住んでいれば一般的な住居条件である5年以上を満たさずとも帰化を許可することができるとされています。また、日本で生まれた外国人で父・母どちらか一方が同じように日本で生まれている場合にも、5年を満たさずとも許可できるといった内容になっています。
また、
引き続き10年以上日本に居住を有するもの
この条件も特別永住者の方が該当する条件となっており、一般的な住所条件では3年以上の就労経験が必要となりますが引き続き10年以上日本に住んでいる場合には1年以上の就労経験で良いとされています。
2.能力条件
帰化を希望する人が18歳以上であり、母国の法律で成人に達していることが条件となっています。
例えば申請時に20歳である場合、18歳以上の条件はクリアしていますので母国での成人年齢が同様に18歳であれば問題なく条件を満たしていることになります。
しかし、母国での成人年齢が21歳の場合には条件を満たしていませんので単独での帰化申請はできないことになります。
つまり日本でも母国でも大人として自分の判断に責任を負える年齢に達していなければ認められませんという条件です。
このような条件がある一方で、住所条件同様に能力条件にも緩和条件があります。
例えば親が先に帰化をしている場合や親と一緒に帰化する場合には18歳に達していない未成年者であっても申請することができます。
3.素行条件
特別永住者であっても税金や年金、健康保険が未納である場合には申請を受け付けてもらえません。また、交通違反や前科・前歴についても同様に、一般の外国人と比較すると若干大目に見てもらえるというケースが散見されますが、基本的には少なく、または、ない方が良いのは当然に、ある場合については相当の期間を置いてからとなります。
税金や年金、健康保険の納付状況、交通違反や犯罪歴などを考慮して素行が善良であるか判断します。
税金や健康保険については、会社員・事業者等自身の状況によって課せられている住民税や所得税、消費税といった各種税金および健康保険料を納めていることが必要になります。
また、住民税や健康保険料については配偶者も同様に、完納している必要がありますので結婚している方は注意してください。
年金については、国民年金であれば少なくとも直近2年分の年金を納めておきましょう。会社員の方で厚生年金の場合には給与から直接支払われていますので未納付の心配はありませんが、国民年金の場合にはご自身で支払う必要がありますので支払い忘れがない状態にしておく必要があります。
交通違反や犯罪歴については、過去の交通違反と前科が問われます。
交通違反は一般的に軽微なものであれば直近2年間で2回の違反歴であれば特に影響がないと言われています。ただし、深刻な違反や大きな事故を起こしている場合には許可の判断に大きく影響しますので相当の期間を置く必要があります。
また、前科についても同様です。 軽微なもので不起訴であれば問題はないと言われていますが内容によって経過期間が必要とされる場合や許可を難しくする場合が当然にあります。
4.生計条件
日本で安定的な生活ができるだけの経済力があることが条件となっています。
定期的で継続して大きい金額が毎月収入として手に入ればいいというわけではなく、その収入に対してどのくらいの支出があり、今後、経済的に生活に困るようなことがないかと収支のバランスを求められることになります。
経済力は申請者本人のみの単独での経済力だけではなく、同居する配偶者などといった生計をひとつにしている家族などがいる場合にはその家族等を含めた単位でのものとなります。
例えば申請者本人が専業主婦であり無収入であっても配偶者である夫が会社員等で安定的な収入が継続的にあり、その収入に対してバランスのとれた支出となっていれば問題はありません。
一方で、前述した通り、いくら生計をひとつにしている配偶者や家族などで収入が多くても毎月の家賃や教育費、食費などでそれを上回る支出がある場合には安定した生活をこれからも送れるのかと疑問に思われ、条件を満たしていないと判断される可能性が高くなります。
単身者であれ家族単位であれ、収入が多かれ、少なかれいづれにしても収入に見合った支出で安定的な生活が送れるような経済状態が条件とされています。
5.重国籍防止条件
日本の帰化申請では重国籍を防止するための条件が設けられています。
つまり母国の国籍を持ち続けながら日本国籍を持つという2重国籍は認めておらず、日本の国籍を取得するには母国の国籍を離脱することが求められています。
日本国籍を取得した場合、当然に母国の国籍を失うといった定めがある国は一般的に問題になりませんが、各国それぞれによってルールは異なりますので、まずはご自身の母国がどのような定めをしているか確認してみてください。
6.憲法遵守条件
文字通りに解釈するならば憲法という決められたルールを守ること・従うことを条件としています。
具体的には国籍法で次のように定められています。
日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと
つまり反社会的な活動をしていないか、または過激派やテロ組織、暴力団などといった反社会的勢力に過去も含めて加入していないことなどが挙げられます。 多くの方は問題ないと条件と考えますが、申請者本人だけでなく、家族や親族、関係者などもこの条件を満たしていることが必要になりますので注意が必要です。
7.日本語能力条件
国籍法に記載はない条件ですが、一定程度の日本語能力が求められます。
一般的には小学校3年生レベル、日本語能力検定N3程度が必要と言われています。
条件の審査は法務局の担当官が面接など申請者とのやり取りや動機書等の日本語記述を見て行います。その際、担当官が日本語能力に疑問を持った場合には日本語テストが実施されます。
普段の生活において母国語を使用しており、読み・書き・話すに不安を感じる方は十分に復習してから申請することをお勧めします。
この先、日本国籍を取得して日本で生活するにあたってはこれまで以上に様々な場所で日本語が必要になります。
例えば、職場・子供達の学校・市役所といった自身や家族の人生における色々な局面で日本語の読み・書き・話すことが必要になり、また、日本の法律や社会制度、個人の権利や義務などの理解にも日本語が必要です。 条件以前に、日本で今後安定した生活を送るためにも一定以上の日本語能力は必要だと考えます。