帰化が許可された後にも必要な手続きがあります。帰化許可後の流れと必要な手続きについて紹介していきます。
目次
帰化許可後の手続きの流れ
- 官報に掲載:帰化が許可されると官報に氏名と住所が記載されます。
- 法務局から連絡:帰化が許可されたことの通知と関係書類を受け取りに来るよう連絡があります。
- 関係書類の交付:法務局で帰化者の身分証明書が交付され、許可後の手続きについて説明があります。※関係書類を郵送で交付する法務局もあります。
- 帰化許可後の手続き(必ず実施する手続き):在留カードまたは特別永住者証明書の返納、帰化届の提出
- 帰化許可後の手続き(該当する場合に実施する手続き):国籍離脱(国籍選択)の手続き、パスポート申請、マイナンバーカードの変更、運転免許証の変更、許認可証の変更、銀行口座の名義変更、各種インフラといった契約関係の名義変更など
帰化許可後の手続き(必ず実施する手続き)
在留カードまたは特別永住者証明書の返納
帰化が許可された場合、申請者が所持する在留カードまたは特別永住者証明書は失効します。失効した在留カード等は失効日から14日以内に出入国在留管理庁に返納しなければならず、期限内に返納しない場合には20万円以下の罰金に処せられることがあります。
法務局で身分証明書など受領したら、まずは在留カード等の返納をしてください。
返納方法ですが、住居地を管轄する地方出入国在留管理官局・支局・出張所に直接持参するか、指定された宛先に送付して返納します。
持参の場合には、法務局で受領した帰化者の身分証明書の写しを在留カード等と一緒に提出してください。郵送の場合には在留カード等と帰化者の身分証明書に加え、指定された書類(在留カード等の返納について ※出入国在留管理庁HP 在留カード等の返納参照)を一緒に添えて送付します。
帰化届の提出
続いて帰化届を提出します。提出先は帰化した方の本籍地か住所地である市区町村役場となっており、提出手続きには帰化届出書と帰化者の身分証明書が必要です。帰化届は帰化の日から1ヶ月以内と定められており、期限内に届出をしない場合には過料を科されることがありますので忘れずに手続きをしてください。
帰化届の用紙は役所に行けば取得できますが、個人用や夫婦用といった書類の種類があり、15歳未満の子供が帰化する場合に記入する欄や日本人配偶者がいる場合に記入する欄など少しわかりにくい箇所がありますので役所の窓口で確認しながら手続きをすることをお勧めします。
帰化許可後の手続き(該当する場合に実施する手続き)
国籍離脱(国籍選択)の手続き
帰化の条件では国籍法第5条第1項第5号として重国籍防止条件が定められており、重国籍は認められておりません。帰化により重国籍になった方は外国籍を離脱し、日本国籍の選択する必要があります。
手続きの流れとしては
➀日本にある大使館等で外国籍離脱の手続き
➁本籍地または住所地の市区町村役場に国籍離脱を証明する書面と外国国籍喪失届を提出
となっています。
また、国籍離脱以外にも本籍地または住所地の市区町村役場に国籍選択届を提出して日本国籍の選択宣言をおこなう手続きもあります。ただし、この場合、選択宣言により外国の国籍を当然に喪失するかについては各国の制度により異なるため、この選択宣言で国籍を喪失する法制ではない外国の国籍を有する方については、この選択宣言後、当該外国国籍の離脱に努めなければならないとされています。
なお、重国籍者は、重国籍となった時が18歳未満であるときは20歳に達するまでに、重国籍となった時が18歳以上であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければなりません。この期限内に国籍の選択をしないでいると、法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合によっては日本国籍を失うことがあります。
日本のパスポートの申請
本籍地または住所地の市区町村役場に帰化届を提出するとおおよそ1週間~2週間ほどで戸籍が出来上がり、申請に必要な書類である戸籍謄本や住民票の写しが取得することができます。帰化前のパスポートを誤って使用することがないよう作成する他、国籍を離脱する手続きに使用する場合もありますので早々に取得しておけば安心です。
手続きする場所
- 住所地の都道府県にあるパスポートセンターなど
必要書類等
- 戸籍謄本(提出の日前6か月以内に発行されたもの・1通)
- パスポート用の写真(1枚)
- 本人確認のための書類(1点又は2点)
- 住民票の写し(提出の日前6か月以内に発行されたもの)
なお、マイナンバーカードとスマートフォンで電子申請ができる地域もありますので詳細は住所地の都道府県にあるパスポートセンターのHPをご覧ください。
マイナンバーカードの変更
パスポートの申請や免許証の変更といった様々な手続きであると便利なマイナンバーカードですが、帰化した場合には氏名変更手続きが必要になります。手続きに必要な書類等の詳細は市区町村窓口にご確認ください。なお、罰則はありませんが手続きにおける期限は記載内容に変更があったときから14日以内となっています。
手続きする場所
- 住所地の市区町村役場
必要書類等
- マイナンバーカード
- その他役所指定のもの
運転免許証の変更
車の運転を日常的にする方はもちろんですが、運転しない方も忘れないうちに変更しましょう。
手続きする場所
- 運転免許センター
- 最寄りの各警察署
必要書類等
- 免許証
- 住民票の写しなど
許認可証の変更
建設業許可や産業廃棄物運搬業許可といった許認可を得て仕事をしている方は、帰化により氏名等の変更があった場合、担当行政庁に届出が必要な場合があります。
取得先の役所や許認可を得る際に依頼した行政書士に連絡をして届出が必要かどうか、必要な場合どのような手続きなのか、書類はどのようなものか、といった詳細を確認してください。なお、届出には期限が設けられていることが一般的です。帰化前にあらかじめ確認しておきましょう。
手続きする場所
- 都道府県や市町村といった許認可先
必要書類等
- 変更届出書
- 住民票等氏名変更の確認できる公的資料など
銀行口座の名義変更・各種インフラといった契約関係の名義変更など
銀行・信用金庫・保険会社・証券会社といった金融機関や水道・ガス・電気・携帯電話・Wi-Fiといったインフラ関係の名義変更の他、土地や建物といった不動産を所有している場合にも変更登記といった名義変更が必要になります。
手続きする場所
- 各種契約窓口
- 土地建物については法務局
必要書類等
- 金融機関等契約会社が指定する書類
- 登記簿謄本や戸籍謄本、住民票の写しなど
まとめ
以上のように帰化後にも数多くの手続きが必要になります。変更を忘れ、トラブルにならないようにあらかじめ一覧表などを作成して手続きに漏れがないように工夫することをお勧めします。